経理部の木村です。
詳しくは最下段の記事の本文をお読みただければいいのですが、
日本の地方ではマイカーでの移動が長時間ですが・・・
記事の趣旨とは異なる点ですが、それがなんとなく重なる部分があり。
あくまで個人の感想です。
「ウォルマート」を「イオン」と読み替えたり・・・・
●以下は記事からの抜粋
「アメリカ人はなぜ、GAPとフォーエバートゥエンティーワンしか着ずに、
マクドナルドのハンバーガーだけを食べ、コストコで大量のジュースを買うんだい?」。
かつて私がアメリカ出張のときにアメリカ人の同僚に聞いた質問だ。
クルマを運転していたアメリカ人はこう答えた。
「そりゃ、アメリカ人は日本人とくらべて、電車通勤しないからだよ」。
電車通勤しないから、自分の身なりを他者の視線にさらさない。
だから何を着ても良いとは思っていないものの、ファッションについては無頓着になりがちだという。
電車通勤の代わりに、1時間以上のクルマ通勤は当たり前だ。
「それで、この1時間はクルマの中で何をしているの?」。「CDを聞いているね」。「どこで買ったの?」。「もちろん、ウォルマートだよ」。
そして彼の左手にはダンキンドーナツが握られていた。
GAPにフォーエバートゥエンティーワン、マクドナルド、コストコ、ウォルマート、ダンキンドーナツ…。
アメリカ人の消費するものの大半が均一化された大手小売業のものである、という陳腐な指摘はやめておこうと思う。
しかし、確かに均一的なものが好きで、かつ1時間以上のドライブが当たり前・・・・
●以下が記事の本文です。
business.nikkeibp.co.jp
<http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20141020/272805/?ST>
ウォルマートは配送に顧客の手も借りる:日経ビジネスオンライン
5 ~ 6 分
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あなたはスマホからスーパーマーケットに注文を出す。
今日は、ひき肉とコーラ、卵にキャベツと、それにビスケットにアイスクリーム。そしていくつかの冷凍食品だ。
しかし、これから注文すると配送までに6時間ほどかかりそうだ。これでは夕食には間に合いそうにない。
するとあなたは奇妙なボタンを発見する。「慈悲深き隣人」。あなたはそれをクリックした。
数分後、あなたは隣に住む魅惑的な女性の訪問を受ける。
「今日は何料理?どうでもいいけど、コーラはせめてダイエットにしといたほうがいいわよ」。
女性はウィンクしながら、あなたが注文した食品を手渡してくれた。
「なぜ、私が注文したことを知っているんですか?」。「たまたまタイミングが合ったから、運んであげようと思ったの」。
あなたは、この女性と初めて話したものの、振り向きざまの香水の匂いが印象に残った。
あなたは次にスマホから女性アーティストのCDを注文する。
いまさらCDを買う必要はないのだが、限定版に特典としてついてくるDVDをどうしても手に入れたかったのだ。
しかもDVDにはライブのチケットが当たる抽選券も同封されている。
またしても、あなたは「慈悲深き隣人」のボタンを発見する。誘惑に抗えず、ふたたびあなたはそれをクリックする。
待つこと20分後、あなたは若い男性の訪問を受ける。どこかこの男に見覚えがある。
そうか、よくすれ違う2区画先の住民ではないか。いつも暗い顔をしている、あの男だ。しかし、あなたが見ている彼は、全く別表情だった。
「ワオ!あのポスターって昨年のライブで買ったのか?」。
あなたは驚き背後を確認すると、注文した女性アーティストのポスターが貼ってある。
「ああ、しかもあれはシークレットライブのときの…」、あなたがそう答えると男は喜びを隠さずにはいられない。
「あのときのライブは最高だったよ」。そういって、男はCDを差し出す。「はい、これ。4曲目が最高だ」。
あなたはお礼を述べる。「また情報交換しよう」、男はそういってドアを閉めた。
きっと次から街を歩くときには、風景が変わっているだろうな、とあなたは思った。
なぜなら、ネットで注文すると、なんと近くの住民たちが運んでくれるのだ。同じ趣味の仲間もいたし、もしかすると恋も…。
あなたは商品を見て思案にふけった。
どこか小説風ではあるものの、これは笑い話ではない。アメリカの流通で実際に検討されている内容だ。
これからは配送業者ではなく、消費者そのものを利用しようとしているのだ。
簡単に想定されるケースを説明しよう。
お客が店舗に向かう。商品を見ると2重価格になっている。
そこには、例えば通常価格は10ドル、一方でラストワンマイル配送(あるいはラストマイル配送)ならば9ドルと書かれている。
後者を選べば、1ドル安価に買える。その代わりに、あなたは隣人が注文したものを手に取り、買い物の帰りに隣人に届ける義務を負う。
ラストワンマイルとは、文字通り「最後のワンマイル」であり、消費者に届ける最後の配送をいう。これまでこの部分は専門業者の独擅場だった。
日本で言えば、ヤマト運輸や日本郵便が担っているところだ。そこに消費者の力を借りるとは、コロンブスの卵的な発想(発送)だ。
しかし、まさにこのラストワンマイル配送をめぐって、熾烈な競争が繰り広げられている。
ラストワンマイルを制するものが、ビジネス上の利益と、何よりビッグデータを手に入れられるからだ。
猫の手の次はお客のクルマを借りよう
真剣に考えているウォルマートによるとこうだ。
「お客はサインアップをして、割引を受けることと引き換えに、帰宅途中に荷物を運び、その荷物を届ける
(In theory, customers could sign up for the chore and drop packages off to customers who are on their route home in exchange for a discount.)」
ことでお客はサプライチェーンの一部になる。
かつて分散コンピューティングは、世界中にあるパーソナルコンピュータの能力を借りて複雑な問題を解決しようとした。
例えば、有名なSETI@homeは宇宙人の存在を証明しようとしたし、distributed.netは暗号解読を行ってきた。
なるほど、分散型の仕組みを作り個々の余力を使おうとする取り組みは、ついに人的余力を活用したサプライチェーン構築に行き着いた。
現在、ウォルマート自体は、アマゾン・ドット・コム(以下アマゾン)や、他のネット通販サイトに対抗するために、店舗からの配送サービスを大プッシュしている。
これは、リアル店舗を有する強みを最大限に発揮するもので、文字通り近くの店舗からスピーディーに配送し、
物流センターから配送する業者との差を見せようとしている。また同社は、その店舗で受け取りも選択できるサービスもはじめた。
いまウォルマートは、配送にフェデックスといった業者を使っているが、当日配送サービスについては「ウォルマートトゥーゴー(“Walmart To Go”)」と呼び、
自社宅配トラックを用意している。他ネット業者は急拡大しているし、他の小売業者との闘いも休まるときを知らない。
これまでアマゾンやネット専門業者に押され気味だったイメージのウォルマートではあるものの、
同社は毎週末に大波のように店舗へ訪れる数百万人の顧客名簿を有している。
この数百万人のお客が自社配送業者として「活用」できれば、彼らにとっては形勢逆転のキッカケともなる。
ラストワンマイルをめぐる死闘
ここで、少しだけ著者個人の思い出に話を変える。
「アメリカ人はなぜ、GAPとフォーエバートゥエンティーワンしか着ずに、
マクドナルドのハンバーガーだけを食べ、コストコで大量のジュースを買うんだい?」。
かつて私がアメリカ出張のときにアメリカ人の同僚に聞いた質問だ。
クルマを運転していたアメリカ人はこう答えた。
「そりゃ、アメリカ人は日本人とくらべて、電車通勤しないからだよ」。
電車通勤しないから、自分の身なりを他者の視線にさらさない。
だから何を着ても良いとは思っていないものの、ファッションについては無頓着になりがちだという。
電車通勤の代わりに、1時間以上のクルマ通勤は当たり前だ。
「それで、この1時間はクルマの中で何をしているの?」。「CDを聞いているね」。「どこで買ったの?」。「もちろん、ウォルマートだよ」。
そして彼の左手にはダンキンドーナツが握られていた。
GAPにフォーエバートゥエンティーワン、マクドナルド、コストコ、ウォルマート、ダンキンドーナツ…。
アメリカ人の消費するものの大半が均一化された大手小売業のものである、という陳腐な指摘はやめておこうと思う。
しかし、確かに均一的なものが好きで、かつ1時間以上のドライブが当たり前、かつ誰もが――という状況においては、
お客をラストワンマイル配送に使うというアイデアも理解できる。
しかもこれは単にコストが安価になったり、配送人員の確保が不要になったり、という意味以外にも、CO2削減も兼ねている。
アメリカは現在、世界の中でガソリンのがぶ飲み状況を続けているから、ガソリン消費量の低下にもなる。
フォーブスの記事によれば、隣人への配送を「親切ゆえに受け取れる割引(discounts for being so kind)」と言っている。
また近隣とのコミュニケーションや、買い物弱者の救済などにもつながる。
一方で、アマゾンはむしろラストワンマイルを強化するために、
自社トラックを増強し、配送期間の短縮や、時間指定配送の正確さ向上等に取り組んでいる。
ウォルマートの進めるラストワンマイル配送が親切心のみからかは分からないものの、ラストワンマイル競争の一端を示しているとは言える。
ところで、この記事が示すように、問題がなくはない。
ラストワンマイル配送を、自社配送しないのであれば、あるいは特定の業者に委託しないのであれば、考えられる課題がいくつもある。
たとえば、盗難、軽度の外傷含む破損、水濡れ、詐欺…といったことはありうるだろう。
法律上の問題もあるし、保証を誰がどの程度ほど持つべきかも明確ではない。
しかも、気持ち悪いといった感想はありうるだろう。
それに、一度、誰かが家にやってきたあとにストーカー行為をされたらどうするべきなのか。何より、知らない誰かがやってくるのは恐い。
クラウドソーシングを使って配送しよう
もちろん、このラストワンマイル配送は、お客のみに頼ろうとしているわけではない。
現在の流れは、この配送をクラウドソーシングしようとする動きだ。
クラウドソーシングとは、ご存知の通り、インターネットを使って、不特定多数のひとたちに、業務委託を依頼することだ。
あるいは、ネットを通じ事業アイデアの資金調達も行われる。業務委託の場合は、プログラミングやコンテンツ作成などで活用される。
配送をクラウドソーシングするとは、文字通り、「荷物を運んでほしい」人たちが各種条件を開示し、「荷物を運びたい」人たちが応募するものだ。
有名な業者では、zipments、RideShip、delivなどで、ウォルマートもこれらクラウドソーシングを検討している。
さきほどアメリカ人たちの通勤の話をした。
もちろん通勤ではなくても、トラック業者が遠方に荷物を届ける際、
クラウドソーシングを活用して、帰路に荷物を載せればトラックの有効活用になるだろう。それに売上にもなる。
前述のzipmentsは、95%のドライバーがプロフェッショナルであるといい、しかも各ドライバーの経験年数が4年を超える。
しかし、他のサービスでは、さほどドライバーの品質が担保されておらず、ドライバーのfacebookアカウントから人柄を確認せよとするものもある(!)。
しかし、この配送のクラウドソーシングに各社がビジネスチャンスを嗅ぎとっているのも事実だ。
ラストワンマイル配送のクラウドソーシングを狙ったスタートアップもたくさんあるし、日本でもクラウド型の配車管理システムがいくつも登場してきた。
もちろん、そのすべてがうまくいくかわからないのは、書いてきたとおりだ。
それにしても、これからは商品の買い先が多様化するだけではなく、配送人も多様化する時代がやってきている。
私たちは消費者でありながら、高度資本主義における商品の届け手になっていく。
隣人をいつの間にか「おつかい」に使い、知らぬ間に隣人から「おつかい」に使われる時代。それは相互扶助なのだろうか。
それとも、「あいつら」に私たちは使われているだけなのだろうか。
このコラムについて目覚めよサプライチェーン
自動車業界では、トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車。電機メーカーでは、ソニー、パナソニック、シャープ、東芝、三菱電機、日立製作所。
これら企業が「The 日系企業」であり、「The ものづくり」の代表だった。
それが、現在では、アップルやサムスン、フォックスコンなどが、ネオ製造業として台頭している。
また、P&G、ウォルマート、ジョンソン・アンド・ジョンソンが製造業以上にすぐれたサプライチェーンを構築したり、
IBM、ヒューレット・パッカードがBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を開始したりと、これまでのパラダイムを外れた事象が次々と出てきている。
海外での先端の、「ものづくり」、「サプライチェーン」、そして製造業の将来はどう報じられているのか。
本コラムでは、海外のニュースを紹介する。
そして、著者が主領域とする調達・購買・サプライチェーン領域の知識も織り込みながら、日本メーカーへのヒントをお渡しする。