経理部の松田です。
9月に碓氷峠の「アプトの道」を歩いてきました。
2017年春以来、5年ぶりの再訪です。(前回の記事はこちら)
「アプトの道」は旧信越本線の横川駅~熊ノ平駅の廃線跡を利用して整備された遊歩道です。
国の重要文化財である旧丸山変電所やめがね橋などの鉄道遺産にふれながら、
10個のトンネルを通って終点の熊ノ平まで歩くことが出来ます。
前回は車を運転して横川駅へ行きましたが、今回は新幹線とバスを利用。
まずは北陸新幹線に乗って軽井沢へ向かいました。
軽井沢駅に着いたら、すぐさま荷物をコインロッカーに預け、駅前にあるバス停へ。
ちょうど東京方面からの新幹線も到着し、降りてきた乗客の多さにびっくり。
軽井沢からはバスに乗り、お隣の群馬県横川駅へ移動します。
旧信越本線が廃止されてからはJRバスが碓氷峠を越えて運行。
横川駅からきたバスは満席だったようで多くの人が降りてきました。利用者が結構いるんですね。
11時5分発の横川駅行きのバスに乗車。乗客は10数名程でした。
一部期間限定で旧碓氷峠経由のバスがありますが、通常は碓氷バイパスを通って横川駅へ直行です。
乗車時間は35分程。
観光シーズンともなれば軽井沢のプリンセス通りは大渋滞ですが、今日は車が少なく空いてました。
出発前には運転手さんより ″安全運転で運行します″ とのアナウンス。
軽井沢と横川の高低差は552mもあり、ヘアピンカーブと片勾配の急坂が長く続くのです。
横川駅に到着。
信越本線の最終駅が横川駅。
関東の駅百選に選ばれていますが、駅内は質素です。
駅前には「峠の釜めし」でお馴染みのおぎのや本店があります。
店内は満席だったので、一つ買って横川駅の前にあるテーブルで食べました。
秘伝の出汁で炊かれた釜めしはとても優しい味。具沢山で美味しかったです。
テーブルの横には食べ終わった空き容器の回収ケースが用意されていました。
ちょうど高崎駅からの電車が到着。
今年は鉄道開業150周年。
記念すべき年に歴史ある廃線跡を歩く嬉しさよー。わくわくでいっぱいです。
鉄道文化むらの横にあるのが「アプトの道」の起点です。
前回は中間地点にある峠の湯から歩いたのですが、今日は起点から歩き通します!
折り返し地点の旧熊ノ平駅までは片道約6キロ、往復約4時間の行程です。
現在12時半。いざスタート!
しばらくは鉄道文化むらに展示されている車輛を横に見ながら歩いていきます。
これは、碓氷峠越えの時に連結された電気機関車でしょうか?
左には特急あさまの姿も。
5分程歩くと「碓氷関所跡」。ここは五街道の一つ・中山道の重要な関所でした。
そばには史料展示室があったのですが移設されたようです。
関所を過ぎた後は、レールの跡を辿っていきます。
熊ノ平までは整備された歩きやすい道です。
遊歩道の隣にはトロッコ列車のレール。
かつての碓氷線のレールを利用して鉄道文化むらから峠の湯までトロッコ列車が運行されてます。
しばらくはひたすらに長い直線を歩いて行きます。ゆるやかに登っていく感じです。
上信越自動車道の高架橋をくぐります。
碓氷関所跡から25分程で、煉瓦造りの「旧丸山変電所」が見えてきました。
丸山変電所は1912年に碓氷線を走る機関車の電化に伴い造られたものです。
この変電所からの電気を機関車に供給してたのですが、1963年新線開通に伴い役目を終えました。
見学できるのは外部のみ。
窓から中を覗いてみると、設備は撤去されて何もありませんでした。
変電所の前にはトロッコ列車の「まるやま駅」があります。
丸山変電所を過ぎると道は左へカーブ。徐々に急坂になってきました。
下の写真は帰りに峠の湯から丸山変電所に向かう時に撮ったもの。
見た目はなんでもなさそうですが、横川から熊ノ平の間で一番急坂だったかも…
急勾配が連続するため「JR最大の難所」と言われた碓氷峠越え。
実際に歩いてその急勾配さを実感しております。
霧積川に架かる橋梁
どんどん進んでいきます。
さらに20分歩くと日帰り温泉施設がある「峠の湯」に到着。売店などもあるので、ちょっと一休みするには良いです。
ベンチで休んでいたら、トロッコ列車がやってきました。
これに乗れば楽だったのに…
ここから先はいよいよトンネルが連続する道へ。
前回はここから歩いたので、この景色をよく覚えています。
すぐに第1号トンネル 。
トンネル内はレンガ造りになっていて、ひんやり涼しい。
軽井沢に着いたときは、雨が降りそうな曇り空でしたが、お昼を過ぎてから青空が広がってきました。
正直ものすごく暑いので、トンネル内で涼みながら進みます。
ぶっ飛ばして3号、4号トンネルへ。
もうここは山の中です。
オレンジ色の電灯で照らされた5号トンネル。
トンネルによって雰囲気が違います。
5号トンネルを抜けると日本最大のレンガ造りの橋梁「めがね橋」。
国の指定重要文化財です。
緑に映えるめがね橋も美しいですが、紅葉シーズンの様子も見てみたいなぁと思います。
橋下には旧18号線。
橋の下に降りると、特徴的なレンガのアーチを眺めることが出来ますが、今日は橋上から見るだけにしました。
遠くに見えるのは平成9年に廃線になった信越本線の新線。
人が立ってますが、あちらは廃線ウォークの有料イベントの参加者。
新線はレールが残っていて線路の上を歩くことができるようです。
めがね橋を渡ると、6号トンネル。このトンネルはかなり距離が長く、暗いです。
前回はビビりながら歩いたトンネルですが、一度歩いているので今回は全く恐怖心はなかったです。
途中に排煙の為の通風孔があります。
6号トンネルを抜けて、次のトンネルヘ。
最後の10号トンネルを抜けると終点の熊ノ平に到着。
右端のトンネルが、通って来た10号トンネル。
真ん中と左のトンネルは、新線として使われていたトンネルです。
ここはかつて熊ノ平駅があった場所。
横川~軽井沢間で唯一の平坦地であり、上下線のすれ違いポイントでした。
軽井沢側のトンネルは閉鎖され行き止まりです。
右側の建物は変電所跡。
当時の面影を残すどこか物寂しい雰囲気です。
パシャパシャと写真を撮っていたら、新線のトンネルから人が出てきました。
先ほどめがね橋から見えてた廃線ウォークの参加者の方々です。
軽井沢側のトンネルへ向かう参加者。
熊ノ平から軽井沢までは歩いて2時間。
イベント時のみ軽井沢側のトンネルが通行できるので、私も次回はイベントに参加してみたいです。
重そうな機材をトンネルから運びだしてこられたイベントスタッフの方に話を伺うと、
トンネル内の壁をスクリーンにして碓氷線の歴史を振り返る映像を参加者に観賞してもらっていたんだとか。
トンネルに電気は通っていないので毎回イベント時に発電機を運んでいるそうです。
お仕事お疲れ様です。
横川と軽井沢を結ぶ碓氷線は1893年に開通。
しかし碓氷峠越えは急勾配であった為、ここを越える鉄道にはアプト式が採用されていました。
1963年に信越本線新線が開通したことを受け、旧線のアプト式鉄道が廃止。
その後、複線となり大幅に時間短縮されたのですが、新幹線開通を機に1997年に碓氷線は廃線となりました。
碓氷線104年の歴史を振り返りながら、残された線路を見ていると感慨深いものがあります。
出発して旧熊ノ平駅までに掛かった時間は約2時間。
小さなベンチがあったので一息入れて、また折り返して帰路へ。
帰りはゆるやかな下りになるので幾分楽ちん。
トンネルからトンネルへ。
重厚なレンガ造りのトンネルです。
こちらはレンガ造りの橋。
旧18号線からも遺構が見られる箇所があります。
途中、峠の湯で少しだけ休憩をして高速道路の橋下まで戻ってきました。
高速道路の奥に裏妙義山が見えます。
妙義山は日本三大奇勝の一つで、独特の岩峰がスゴイです。
鉄道文化むらまで帰ってきました。車両がまるでミニチュアのように見えるんですが…
ということで往復4時間弱、アプトの道を歩いてきました。歩きごたえたっぷりで大満足!
前回見れなかった景色を今回見ることが出来たので良かったです。
再び横川駅よりバスに乗って軽井沢へ向かいます。
軽井沢駅に着いたら軽井沢アウトレットへ。
イルミネーションが点灯されてキレイ。
夜になっても沢山のお客さんです。
ぶらぶらと散策・食事をした後はホテルへ。
新幹線なら日帰りも可能ですが、今日はホテルに宿泊。(車で来たら絶対に車中泊だった…)
軽井沢駅から歩いてホテルまで向かったのですが、街中に街灯が全くなかったのには驚きました。
通り沿いにある店舗の明かりと車のライトが頼り。裏通りに入ると真っ暗でした。
洋風のクラシカルな外観です。
早速ホテル内を探検したのは言うまでもなく、アンティークな調度品が並び、貸切露天風呂もありました。
何よりもお部屋のお風呂とトイレがセパレート式だったので、ゆっくりとお湯に浸かって疲れを癒せたし、
快適な寝心地で良く眠れました。
解放感最高!
翌日は晴天。
別荘が並ぶ通りを歩いて軽井沢駅へ向かいました。
静かで木漏れ日が気持ち良かったです。
軽井沢駅に着いたら、お隣にある旧軽井沢駅舎を見学。
新幹線が開通する前は軽井沢のシンボルとして長年親しまれてきた駅舎です。
一旦解体され、今の場所にほぼ原形のまま再築。
現在はしなの鉄道の駅舎および記念館として復活してます。
社会人に成りたての頃、この旧駅舎に一度降り立ったことがあります。
あの頃は、軽井沢のペンションに泊ってテニスとサイクリングをすることに憧れ、
ウェアとラケットを買い揃えて一度もしたことないテニスをし、そして一日中、自転車を漕いで軽井沢の街を走り回ったっけ。
遠いあの頃が懐かしいです……。
旅の締めくくりは「軽井沢プリンスショッピングプラザ」へ!
なんと言っても、自然に囲まれた開放感のあるこのロケーションが大好き。
そして自然にマッチした建物のデザインが素敵で、センスの良さを感じます。
ウィンドウショッピングだけでも楽しい。
建物の先にポッコリと見えているのが離山。いつも気になる存在です。
そして離山の上に見えるのが浅間山。
アップで。
どんどん人が増えてきたので、早めに昼食を取ることにして11時のオープン前にお店に並びました。
せっかく軽井沢に来たのだからちょっと奮発。美味しかったです♪
「門前洋食 藤屋」のハンバーグステーキ
そして軽井沢といえば、ミカドコーヒーのモカソフト!
初めて食べた時の美味しさは今も忘れられません。
今日こそはと長蛇の列にもめげずに並んで食べました。
軽井沢の景色を眺めながら、帰りの新幹線の時間までぶらぶら。
帰りは新幹線の中から綺麗な夕日を見ることが出来ました。
これにて、廃線跡を歩く「アプトの道」の旅は終了。
アプトの道はとても歩きやすく見どころたっぷり。何度歩いても楽しいです。
日本で初めて碓氷線に取り入れたアプト式鉄道、碓氷線の104年の歴史を振り返ると感慨深いものがありました。
碓氷線の鉄道遺産に触れながら歴史と自然を満喫!
次は紅葉に映える様子も見てみたいです。